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超幾何分布

[mathjax] 基本的に、足りない地頭を補うために時間を使ってきた歴史がある。 理解の速度や再現に地頭が影響する。 頭の中でパンパンパンって話が進む経験は全くない。 たぶんここに書いていることを活かすには地頭が必要だと思うので今後の人生で使えないだろうな。 具体的な確率分布を理解していく。 超幾何分布(hypergeometric distribution)。 超幾何分布 2種類のグループ(A,B)があって、個数の構成はそれぞれ(M),(N-M)。 これらから(n)個を取り出したときに、(A)が(x)個、(B)が(n-x)個であるとする。 袋の中に赤い玉が(M)個、白い玉が(N-M)個あって、 赤い玉を(x)個、白い玉を(n-x)個取る確率だな。取り出して戻さないやつ。 俯瞰して書くとこういうことになる。 begin{eqnarray} f(x) = frac{ {}_M C_x cdot {}_{N-M} C_{n-x} }{ {}_N C_n } end{eqnarray} 単に確率を求めただけ、みたいに見えるけど、 この事実が確率変数(x)を使った確率分布になっている。 (x)以外は定数(つまり観測可能、設定可能な値)となっていて、 (n,M,x)から(N)を推測するのに使われたりする。 超幾何分布という確率分布を知ったのであれば、 捕獲再捕獲法という条件下で、(n,M,x)という既知の値を使って(N)を推測したいなと 式が確率分布であることの証明 そもそも(f(x))はある(x)に関する確率を求めただけではないのか、 なぜ確率分布なのか。以下のように考えるらしい。 スタートは以下の恒等式。 begin{eqnarray} (1+t)^N equiv (1+t)^M cdot (1+t)^{N-M} end{eqnarray} (N=2)のとき、左辺を展開すると(t^2+2t+1)。 (N=3)のときは(t^3+3t^2+3t+1)。 (N)を増やしていった時、一般的に(t^n)の項の係数は({}_N C_n )。(初めて考えたけどこうなるんだな...) 対して、右辺の展開式において(t^n)の項の係数を調べる。 ((1+t)^M)の展開式において次数(x)の項と、 ((1+t)^{N-M})の展開式において次数(n-x)の項の積が次数(n)となる。 (x)は複数あるが、全ての(x)について係数を足すことで(t^n)の係数を求められる。 つまり、(sum_x {}_M C_x cdot {}_{N-M} C_{n-x}) 左辺、右辺の(t^n)の項の係数は同じであるはずなので、 begin{eqnarray} {}_N C_n = sum_x {}_M C_x cdot {}_{N-M} C_{n-x} end{eqnarray} 両辺を({}_N C_n)で割ると、 begin{eqnarray} 1 &=& sum_x frac{ {}_M C_x cdot {}_{N-M} C_{n-x} }{ {}_N C_n } \\ &=& sum_x f(x) end{eqnarray} 全部足して1になるということは確率分布。 左辺がサクッと1になって、右辺がサクッと超幾何分布の式になるという、 ぷよぷよの2段消しみたいな快感。 確率分布とは関係ない恒等式からスタートして、いきなり言いたいことが出てくるという不思議。 超幾何分布と二項分布の関係 超幾何分布は2種類のグループから取り出したものを戻さずに次を取り出す際の確率分布だけども、 戻して取り出す場合と戻さずに取り出す場合では、立式自体が変わってくる。 で、戻さないで次を取り出すときは二項分布になる。 (N)の極限を取ると二項分布になると書いてある。 立式の上では、以下の通り、確かに二項分布になる。 begin{eqnarray} lim_{N rightarrow infty} f(x) &=& lim_{N rightarrow infty} frac{ {}_M C_x cdot {}_{N-M} C_{n-x} }{ {}_N C_n } \\ &=& lim_{N rightarrow infty} cdot frac{ {}_{M_1} C_x cdot {}_{M_2} C_{n-x} }{ {}_N C_n } \\ &=& lim_{N rightarrow infty} frac{M_1!}{(M_1-x)! cdot x!} cdot frac{M_2!}{(M_2-n+x)!(n-x)!} cdot frac{(N-n)!n!}{N!} \\ &=& lim_{N rightarrow infty} frac{n!}{(n-x)! x!} frac{M_1(M_1-1)cdots (M_1-x+1)cdot M_2(M_2-1)cdots (M_2-n+x+1)}{N(N-1)(N-2)cdots (N-n+1)} \\ &=& lim_{N rightarrow infty} {}_N C_x cdot frac{ frac{M_1}{N}(frac{M_1-1}{N})cdots (frac{M_1-x+1}{N}) cdot frac{M_2}{N}(frac{M_2-1}{N})cdots (frac{M_2-n+x+1}{N}) }{(1-frac{1}{N})(1-frac{2}{N})cdots (1-frac{n-1}{N})} \\ &=& lim_{N rightarrow infty} {}_N C_x cdot frac{ p cdot (p-frac{1}{N}) cdot (p-frac{x+1}{N}) cdot q cdot (q-frac{1}{N}) cdot (q-frac{n-x-1}{N}) }{ (1-frac{1}{N})(1-frac{2}{N})cdots (1-frac{n-1}{N}) } \\ &=& {}_N C_x p^x cdot q^{n-x} \\ &=& {}_N C_x p^x cdot (1-p)^{n-x} end{eqnarray} (N)が十分に大きいときはより簡単な二項分布で近似せよ、ということになる。 あぁ、ここで、(p=frac{M_1}{N}, q=frac{M_2}{N})。 アルゴリズムの計算量の話のように、どういう問題がどんな分布に収まるのか、 というのは、知っておくと便利な気がする。 単純にモデルに当てはめるというのではなくて、 世の中には、こういうデータの測り方がありますよ、というケーススタディなんですな。

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モーメント母関数と確率密度関数

[mathjax] 期待値、分散、歪度、尖度...、確率分布を形成する確率密度関数の特徴を表す値で、 実は、相互に変換できる値なのだという...。読んでいったら若干感動したのでまとめてみる。 40近いオッさんがはじめてテイラー展開のありがたさを味わう瞬間の記録。 モーメント母関数とモーメント モーメント母関数を以下のように定義。 begin{eqnarray} M_x(t) &=& E(e^{tX}) \\ &=& int_{-infty}^{infty} e^{tx} f(x) dx end{eqnarray} 英語で書くとmoment generating function。モーメントを作る関数。 ここで(f(x))というのが確率密度関数。 もともとこの時点で積分が存在しないかもしれない。 確率密度関数によっては、期待値、分散、歪度、尖度を直接求めるのは難しい。 しかし、モーメント母関数の(r)階導関数からモーメント(mu_r)を解析的に求められる性質から、 期待値、分散、歪度、尖度を求めることができる。 さて...、40近いオッさんは思い出す。 指数関数のテイラー展開は、マクローリン級数を使って以下の通り。 begin{eqnarray} e^x = 1+x+x^2/2!+x^3/3!+cdots end{eqnarray} (tX)だと、 begin{eqnarray} e^{tX} = 1+tX+(tX)^2/2! +(tX)^3/3! + cdots end{eqnarray} 両辺の期待値をとる。右辺全体の期待値はそれぞれの項の期待値の和にできるので、 begin{eqnarray} E(e^{tX}) &=& M_x(t)\\ &=& E(1) + E(tX) + E((tX)^2/2!) + E((tX)^3/3!)) + cdots end{eqnarray} (t)に対する定数を出すと begin{eqnarray} M_x(t) &=& E(e^{tX})\\ &=& E(1) + E(X)t + E(X^2/2!)t^2 + E(X^3/3!)t^3 + cdots \\ &=& 1 + mu_1 t + (mu_2/2!)t^2 + (mu_3/3!)t^3 + cdots end{eqnarray} キター。おわかりだろうか...。 (M_x(t))は(t)に関する展開式の係数に各次数のモーメントを含んでいる。 (t)について1回微分すると0次までの項は消える。 2次以降の項の(t)の次数が1減って残る。1次の項だけ(t)が消える。 そのとき(t=0)とすると、階数の係数(M^{(r)}_X(0)=mu_r)だけ残る! つまり、以下のようなとんでもないことになる。 begin{eqnarray} M_X\'(0) = mu_1 \\ M_X\'\'(0) = mu_2 \\ M_X\'\'\'(0) = mu_3 \\ end{eqnarray} 各次数のモーメントである期待値、分散、歪度、尖度を、 モーメント母関数の(r)階導関数から求められるということになる。 指数分布のモーメント 試しに指数分布でやってみる。 begin{eqnarray} M_x(t) &=& int_{0}^{infty} e^{tx} lambda e^{-lambda x} dx \\ &=& lambda int_{0}^{infty} e^{(t-lambda)x} dx end{eqnarray} 指数関数の積分のところでおっ、と思ったけど、以下となる。 begin{eqnarray} M_x(t) = frac{ lambda }{ lambda -t} end{eqnarray} これ、解析的に微分できるのかな...と思うんだけども高校数学で暗記するやつ。 微分と積分を行ったり来たりするとわかる。 begin{eqnarray} M_x^{(1)}(t) &=& frac{ lambda }{ (lambda -t)^2} \\ M_x^{(2)}(t) &=& frac{ 2 cdot lambda }{(lambda -t)^3} \\ M_x^{(3)}(t) &=& frac{ 2 cdot 3 cdot lambda}{(lambda -t)^4} end{eqnarray} (t=0)とおくと、 begin{eqnarray} mu_1 &=& frac{1}{lambda} \\ mu_2 &=& frac{2}{lambda^2} \\ mu_3 &=& frac{2 cdot 3}{ lambda^3} \\ mu_4 &=& frac{2 cdot 3 cdot 4}{ lambda^4} end{eqnarray} これで、微分の数値計算をしなくても解析的に(mu_1)から(mu_4)が求まった。 そして永遠に微分し続けることで指数分布を形作る指標が決まっていく。 すごいなぁ...。

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歪度と尖度 (モーメント母関数導入前)

[mathjax] 確率変数(X)を使って表される確率分布の様子を表す指標について。 最も基本的なのが期待値(E(X))であって、次が分散(V(X))。 さらに、期待値(E(X))を中心として左右のどちらに歪んでいるかを表す歪度(alpha_3)、 期待値(E(X))近辺が全体と比較してどの程度尖っているかを表す尖度(alpha_4)がある。 その調子で、確率分布の特徴を表す指標は無数に作ることができる。 モーメント母関数の(r)階導関数から得られる各次数のモーメントが期待値、分散、歪度、尖度である、 という究極的にシンプルな話を読んでかなり感動したのだが、 モーメント母関数の(r)階導関数からモーメントを導出するのは次回として、 まず、歪度、尖度をそれぞれ別個に書いてあるのを読んでみる。 歪度 確率分布は常に期待値(E(X))を中心に左右対象という訳ではない。 この非対称性の指標の定義があって歪度が使われる。歪度は(alpha_3)という記号を使う。 その定義は以下の通り。 begin{eqnarray} alpha_3 = E(X-mu )^3 / sigma^3 end{eqnarray} (alpha_3 ge 0)ならば左の裾が長い。 (alpha_3 le 0)ならば右の裾が長い、と読む。 また、(|alpha_3|)は左右の歪みの程度を表す。 (alpha_3)を定義通り計算しても値が得られるが、 以下のようにしておくとより楽に得られる。 begin{eqnarray} E(X-mu)^3 &=& E(X^3) - 3mu E(X^2) + 3mu^2 E(X) - mu^3 \\ &=& E(X^3) - 3mu E(X^2) + 2mu^3 end{eqnarray} なんで(alpha_3)の式が確率分布の歪みを表すのか。 ( mu = E(X) )を中心に、(X-mu ge 0)を満たす確率よりも(X-mu le 0 )を満たす確率の方が少なければ、 (X-mu)は右に歪んでいるといえる。逆も真。 3次の式(y=x^3)は、(x ge 0)であれば正、(x le 0 )であれば負であるという特徴がある。 この特徴を使うと、( E(X-mu)^3 )の正負は、(X-mu)の正負と一致すると言える。 さらに、大きさを規格化するため、( E(X-mu)/sigma )の正負を考えることとし、( (X-mu)^3 / sigma^3 )が出てくる。 尖度 分布の頂点がどれだけ尖っているかを表すのが尖度(alpha_4)。 正規分布の尖度を3とし、 (alpha_4-3 gt 0)であれば正規分布より尖っている。 (alpha_4 lt 0)であれば正規分布より尖っていない、とする。 これも(y = x^4 ) の特徴から導かれる。 (x=0)近辺の値と、(x=0)から離れた値を比べたとき、 前者は(y = x^4 ) に対して小さな値を出力し、後者は大きな値を出力する。 (x=0)から離れると急激に値が大きくなるという特徴がある。 つまり、(E(X-mu)^4)を見たとき、 確率値が(mu)の近辺にあれば値は0に近く、(mu)から離れた値が多ければ急激に値が大きくなる。 大きさを規格化し、(E(X-mu)^4/sigma^4)を尖度として利用する。 (alpha_3)と同様に、直接計算する方法もあるが、以下のように計算することもできる。 begin{eqnarray} E(X-mu)^4 &=& E(X^4) - 4mu E(X^3) + 6 mu E(X^3) -4 mu^3 E(X) + mu ^4 \\ &=& E(X^4) - 4mu E(X^3) + 6 mu E(X^2) - 3 mu^4 end{eqnarray} モーメント母関数のr階導関数 期待値、分散、歪度、尖度は、モーメント母関数から統一的に導かれる。 これがまたすごいので次のエントリで書いてみる。

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確率変数、確率密度関数

[mathjax] やりなおし統計もだいぶ頭が慣れてきた。 だいぶ赤本を読めるようになってきたぞ、という感触がある。 続けて確率密度関数の定義を読んでいく。 一線でやっているデータサイエンティスト(俗称)の方の話として、必要な数学力というのは 実はそこまで高くなく、線形代数といっても実は単に行列の掛け算ができる、とか、 解析学といっても、高校数学の数Ⅲぐらいだったりとか、そういうことを言う人が多いみたい。 (アカデミックな層とは2段も3段も劣るオッさんが基礎を学んだところで行けるラインなんて限界がある。) 機械学習と密接な関係の統計学くらいはちゃんとインプットしておきたいのだが。 もちろん一発で理解できる頭ではないので、たぶんこれから何度もやりなおすだろう。 一方で足りなかったら後から足していけば良いぐらいの位置に立てたかな、とも思う。 確率変数と確率分布 サイコロを投げてそれぞれの目が出る相対度数はおそらく(1/6)くらいだろう。 実際に出る目はランダムで相対度数は決まらなない。一方で確率の定義からそれぞれ(1/6)。 実際に出る目を(X)として表して、(P(X) = 1/6)として表現する。 つまり、 begin{eqnarray} P(X=1)=1/6, P(X=2)=1/6, P(X=3)=1/6, \\ P(X=4)=1/6, P(X=5)=1/6, P(X=6)=1/6 end{eqnarray} この(X)を確率変数という。 また(P(X=x_k)=p_k)を確率分布という。 加算集合({x_1,x_2,cdots,})の中の値を取る確率変数(X=x_k)について 確率分布は離散的であり、(sum_{k=1}^{infty} f(x_k) =1 )である。 また、確率変数が連続である場合、(P(aleq X leq b)=int_{a}^{b} f(x) dx =1 )である 確率密度関数 連続型の確率変数(X)について、(P(xleq X leq x+ Delta x)=int_{a}^{b} f(x) dx )と表す場合、 区間(a)から(b)の定積分、つまり面積が確率値となる。 (X)は連続型の確率分布をもつという。(f(x))を(X)を確率密度関数という。 ここで、全ての(X)に対して以下が成り立つ。 begin{eqnarray} f(x) geq 0 \\ int_{-infty}^{infty}f(x) dx = 1 end{eqnarray} 「密度」とは何なのか。 (P(X)=int_{a}^{b} f(x))の式において、(a=b)であるならば定積分は0である。 確率密度関数において一点の確率は0ということになる。 これだと、密度関数の大小が確率にどう影響を与えるか説明しづらい。 小さい(Delta x)を考えたとき、面積を(Delta x)を使って近似する。 微小区間に掛け与える値の大小(f(x))が確率(P(X))に影響する。 この振る舞いを「密度」と言っているらしい。 begin{eqnarray} P(xleq X leq x+ Delta x) simeq f(x)cdot Delta x end{eqnarray} 全ての確率変数(X)について均一に確率が存在している訳ではなく、 高い確率、低い確率の存在に濃淡がある。その様を表すのが確率密度関数である。 うん、特に難しくない。

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条件付き確率、乗法定理とベイズの定理

[mathjax] ようやくたどり着いたベイズの定理の入り口。 ここから入らないと何も理解できないと思う。 条件付き確率と事象の独立性 事象(B)が起こることがわかってる場合に事象(A)が起こる確率を (B)を条件とする(A)の条件付き確率という。 読み方は、Probability of A given B. (P_B (A))とも書く。 当たり前のように以下の定義がある。 そもそもここから引っかかる。 begin{eqnarray} P(A|B) = frac{P(Acap B)} {P(B)} end{eqnarray} 見方はこちら。 begin{eqnarray} P(Acap B) = P(B) cdot P(A|B) end{eqnarray} 最初に(B)か(B)でないかで分岐する際に(B)を選んだ確率が(P(B))。 次に(A)か(A)でないかで分岐する際に(A)を選んだ確率が(P(A|B))。 俯瞰して(A)と(B)を両方一気に選ぶ確率は(P(Acap B))。 そう、何が気持ち悪いかというと(P(Acap B))と(P(A|B))が同じでないところ。 ではどう違うのか。 (A)を選ぶ確率が(B)に依存していないならば、(P(A|B))は(P(A))と等しい。 つまり、(P(Acap B) = P(B) cdot P(A))。こちらは直感的。 依存しているならば、(P(B))と(P(A))を分離できなくなり、Aを選ぶ確率にBの影響が出る。 Aを選ぶのにBの影響が出る一般の条件がコレで、 begin{eqnarray} P(Acap B) = P(B) cdot P(A|B) end{eqnarray} そのうち、影響が全くでない特殊な条件がコレ。 begin{eqnarray} P(Acap B) = P(B) cdot P(A) end{eqnarray} すっきり。 ベイズの定理 (H_1,H_2,cdots,H_n)という原因の結果(A)が得られた、という条件。 普通は原因(H)が発生した上で結果(A)が得られる確率(P(A|H))を直接計算することができるが、 結果が得られた上で原因が得られる確率(P(H|A))は直接計算できない。 直接計算できる(P(A|H))を直接計算できない(P(H|A))に変換するのがベイズの定理。 begin{eqnarray} P(H_i|A) = frac{P(H_i)cdot P(A|H_i)}{sum P(H_j) cdot P(A|H_j)} end{eqnarray} 一番有名なたとえ。 「無料」という単語を含むメールが迷惑メールである確率を知りたいけど直接計算では求められない。 大量に迷惑メールを集めて「無料」という単語が含まれる確率は計算で得られる。 後者を前者に変換することで、直接得られない確率を推定する話。 条件付き確率の定義を変形するとベイズの定理になる。 begin{eqnarray} A &=& A cap Omega \\ &=& A cap (H_1 cup H_2 cup cdots cup H_n) \\ &=& (A cap H_1) cup (A cap H_2) cup cdots (A cap H_n) end{eqnarray} ((A cap H_1))、((A cap H_2))、(cdots)、((A cap H_n))は排反だから begin{eqnarray} P(A) &=& sum P(A cup H_j) \\ &=& sum P(H_j) cdot P(A|H_j) end{eqnarray} 条件付き確率の定義に放り込む。 begin{eqnarray} P(H_i|A) &=& frac{P(H_icup A)}{P(A)} \\ &=& frac{P(A|H_i)cdot P(H_i)}{P(A)} \\ &=& frac{P(A|H_i)cdot P(H_i)}{sum P(H_j) cdot P(A|H_j)} end{eqnarray}

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排反事象の確率の和と一般の事象の確率の和の関係

[mathjax] 確率の基本を最初からじっくり読み進めてみる。 そもそもロクにわかってないことがわかる。 確率の加法について今更\"おっ?\"と思ったのでまとめてみる。 排反事象の確率の和と一般の事象の確率の和の関係 事象(A)と事象(B)が排反であるとき以下が成り立つ。 begin{eqnarray} P(Acup B)=P(A)+P(B) end{eqnarray} これは、事象(A)と事象(B)の排反でない場合の確率(P(Acup B))について 事象(A)と事象(B)が排反である、という特殊な条件を付けたものになっている。 (P(Acup B))は3つの排反事象の確率(P(Acap B^c),P(A^c cap B),P(Acap B))の和に分解できる。 begin{eqnarray} P(Acup B) = P(Acap B^c) + P(A^c cap B) + P(Acap B) end{eqnarray} 事象(A)を以下のように分解する。 begin{eqnarray} A &=& (Acap B^c)cup (Acap B)\\ B &=& (Acap B)cup (A^C cup B) end{eqnarray} ((Acap B^c))と((Acap B) )は排反、((Acap B))と((A^C cup B))も排反。 なので、 begin{eqnarray} P(A) &=& P(Acap B^c) + P(Acap B) \\ P(B) &=& P(Acap B) + P(A^C cup B) end{eqnarray} 2つ足すと、 begin{eqnarray} P(A)+P(B) &=& 2 P(Acap B) + P(Acap B^c) + P(A^C cup B) end{eqnarray} これ、以下のように変形できてしまう。 begin{eqnarray} P(Acap B) &=& P(A) + P(B) - P(Acup B) end{eqnarray} ここまで来てようやく... (A)が起きる確率と(B)が起きる確率の和は、それぞれを足したものから重複部分の確率を引いたもの。 (A)と(B)が排反事象の場合に限って(P(Acup B)=phi)だから、(P(A)+P(B))となる。

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時系列データ-自己相関係数

[mathjax] 時系列データと自己相関係数、コレログラムについてまとめてみる。 自己相関係数 時間の経過と共に得られた(n)個のデータ(x_1,x_2,cdots,x_n)(時系列データ)があるとする。 (x)から(h)だけずらしたデータ(y=x_{1+h},x_{2+h},cdots,x_{n+h})との相関係数を遅れhの自己相関係数という。 (n)個のデータの平均(bar{x})は、 begin{eqnarray} bar{x}=frac{(x_1+cdots+x_n)}{n} end{eqnarray} 相関係数を以下のように定義す模様。 begin{eqnarray} r_h = frac{frac{1}{n-h}(x_i-bar{x})(x_{i+h}-bar{x})}{frac{1}{n}sum_{i=1}^n (x_i-bar{x})^2} end{eqnarray} (x_i)に周期性があれば、周期が一致する(h)のところで、 例えば日を跨いだ同じ時間に当たる(h)に差しあたるところで、 相関係数が大きくなるはず。 (r_h>0)ということは、各時点の傾向は(h)時点先に持続するということ。 (r_h<0)ということは、各時点の傾向は(h)時点先に反転するということ。 コレログラム (h)を0から大きくしていくことで(r_h)が上下するが、 その推移を見ることで、時系列データの周期の見当をつけることができる。

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嘘を見抜く方法-見かけ上の相関と偏相関係数

[mathjax] みかけ上の相関 データセット((x_i,y_i))について高い相関係数が得られた場合に、 必ずしも(x_i)と(y_i)の間に相関があると言えない。 例えば、「金持ちの人ほど朝方である」というやつ。 所得(x_i)と起床時間(y_i)が揃ったデータセットなんてどこで取るのか知らないけど。 ((x_i,y_i))を散布図にプロットしていくと、綺麗に正の相関が現れるらしい。 相関係数(r_{xy})は1に近づき、相関係数だけ見ると相関がありそうに見えてしまう。 これには年齢(z_i)というデータが隠れていて、 年齢が高いほど高所得である場合が多く、早起きだという事実がある。 つまり(r_{zx})、(r_{zy})は1に近い値になる。 偏相関係数 本来背後にある考慮あれていない因子(ここで言う年齢)のことを交錯因子と言うらしい。 交錯因子の影響を取り除いたあとの補正済みの相関係数(偏相関係数)を計算できてしまう。 以下の(r_{xy cdot z})は、(z_i)の影響を除いた後の(x_i)と(y_i)の相関係数。 begin{eqnarray} r_{xy cdot z} = frac{r_{xy}-r_{xz}r_{yz}}{sqrt{1-r_{13}^2}sqrt{1-r_{23}^2}} end{eqnarray}

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相関係数

[mathjax] ちょっと良くわかってなかったので改めて読み直してみた。 ものすごく分かりやすかったのでまとめてみる。 共分散(C_{xy}),標準偏差(S_x,S_y)と相関係数(r_{xy})の関係 2次元のデータ((x_1,y_1),(x_2,y_2),cdots,(x_n,y_n))が与えられた場合、 変数(x)と(y)の相関係数(r_{xy})は、それぞれの標準偏差(S_x,S_y)と、共分散(C_{xy})を使って以下となる。 begin{eqnarray} r_{xy} &=& frac{C_{xy}}{S_x S_y} \\ &=& frac{sum_{i=1}^n(x_i-bar{x})(y_i-bar{y})/n}{sqrt{sum_{i=1}^n{(x_i-bar{x})^2}/n} sqrt{sum_{i=1}^n{(y_i-bar{y})^2}/n}} \\ &=& frac{sum_{i=1}^n(x_i-bar{x})(y_i-bar{y})}{sqrt{sum_{i=1}^n{(x_i-bar{x})^2}} sqrt{sum_{i=1}^n{(y_i-bar{y})^2}}} \\ end{eqnarray} 幾何学的な意味 共分散の分母は常に正なので、符号は分子による。 つまり、(x_i-bar{x} ge 0)かつ(y_i-bar{y} ge 0)の場合か (x_i-bar{x} le 0)かつ(y_i-bar{y} le 0)の場合に(r_{xy} ge 0) (x_i-bar{x} ge 0)かつ(y_i-bar{y} le 0)の場合か (x_i-bar{x} le 0)かつ(y_i-bar{y} ge 0)の場合に(r_{xy} le 0) (r_{xy} ge 0)であるデータが(r_{xy} le 0)であるデータよりも多ければ(r_{xy})は正の方向に大きくなる。 逆に(r_{xy} ge 0)であるデータが(r_{xy} le 0)であるデータよりも少なければ(r_{xy})は負の方向に大きくなる。 (r_{xy} ge 0)であるデータと(r_{xy} le 0)であるデータが拮抗すると(r_{xy})は0に近づく。 (y_i = frac{S_y}{S_x}(x_i-bar{x})+bar{y})のとき、 すなわち(y_i = frac{S_y}{S_x}x_i + bar{y}-bar{x}frac{S_y}{S_x})という直線に全てのデータが乗っているとき、 (r_{xy}=+ 1)となる。(x_i)が増加すれば(y_i)が増加するデータ。正の完全相関。 逆に(y_i = -frac{S_y}{S_x}(x_i-bar{x})+bar{y})のとき、 すなわち(y_i = -frac{S_y}{S_x}x_i-bar{y}+bar{x}frac{S_y}{S_x} )という直線に全てのデータが乗っているとき、 (r_{xy}=- 1)となる。(x_i)が増加すれば(y_i)が減少するデータ。負の完全相関。 相関係数(r_{xy})が(-1 le r_{xy} le 1)を満たすことの証明 一般正規分布を標準正規分布にする際の変換で出てきたように、 平均が0、標準偏差が1の分布に変換する。 変換後の分布(z_i,w_i)はそれぞれを下記の通り。 begin{eqnarray} z_i = frac{x_i-bar{x}}{S_x} \\ w_i = frac{y_y-bar{y}}{S_y} end{eqnarray} これらの分布を使って相関係数(r_{xy})を書き直すと以下のようになって、 (z_i)、(w_i)の共分散と等しいことがわかる。 begin{eqnarray} r_{xy} &=& frac{1}{n}sum_{i=1}^n z_i w_i \\ &=& frac{1}{n}sum_{i=1}^n (z_i-bar{z}) (w_i-bar{w}) \\ &=& C_{zw} end{eqnarray} 相関係数(r_{xy})が(-1 le r_{xy} le 1)を満たすことの証明は以下のようにやる様子。 begin{eqnarray} frac{1}{n} sum_{i=1}^n (z_i pm w_i)^2 &=& frac{1}{n} sum_{i=1}^n (z_i^2 pm 2z_i w_i + w_i^2) \\ &=& frac{1}{n} sum_{i=1}^n z_i^2 pm frac{2}{n} sum_{i=1}^n z_iw_i + frac{1}{n} sum_{i=1}^nw_i^2 end{eqnarray} 標準化された分布(z_i)、(w_i)について以下が成り立つ。 begin{eqnarray}  frac{1}{n}sum_{i=1}^n z_i^2 &=& 1 \\  frac{1}{n}sum_{i=1}^n w_i^2 &=& 1 end{eqnarray} なので、 begin{eqnarray} frac{1}{n} sum_{i=1}^n (z_i pm w_i)^2 &=& 1 pm 2r_{xy} + 1 \\ &=& 2(1 pm r_{xy}) end{eqnarray} 左辺は常に正なので、( 1 pm r_{xy} ge 0 )が言える。 つまり、(-1 le r_{xy} le 1 ) が言える。

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Excelでカイ二乗分布曲線を描く

[mathjax] Excelは統計関数が充実している 一緒にPythonとRを習得した方が良いのだろうけど、Excelでも結構やれるらしいので、 Excelでカイ二乗分布曲線を描いてみる。 やり方 カイ二乗分布の確率密度関数は以下の通り。 begin{eqnarray} f_n(x) = frac{1}{2^{frac{n}{2}}Gamma({frac{n}{2}})}x^{frac{n}{2}-1}e^{-frac{x}{2}} end{eqnarray} Excelには確率密度関数と累積分布関数を取得する関数が標準で備わっている。 CHISQ.DIST((x),(n),関数形式) 関数形式がTRUEの場合は累積分布関数、 FALSEの場合は確率密度関数。 (x)と(n)の2変数関数なので、行,列をそれぞれに割り当ててクロスするところが値。 自由度=1のとき(x=0)で無限大に発散するのに注意が必要。 (0 lt x lt 1)の区間で形が変わるのでそれも注意が必要。 確率密度関数のグラフをプロットすると以下のようになる。 累積分布関数のグラフは以下。 確率密度関数の積分グラフですかね。 自由度=3のときの確率密度関数のグラフと累積分布関数のグラフを並べてみる。 (x=7.5)くらいに確率密度関数の値が(0.025)くらいになる。 (x lt 7.5)の面積が(0.975)くらい、または(x gt 7.5)の面積が(0.025)くらい。 つまり、(int_{0}^{7.5}f_3(x) = 0.975)くらいで、(int_{7.5}^{infty}f_3(x) = 0.025)という意味。 (x=7.5)くらいのとき累積分布関数の値が(0.975)くらいになる。 標準正規分布に従う3個の変数の二乗和の97.5%は7.5より小さい。