球面集中現象を理解するために記憶にないことが多すぎるので
理解に必要そうなことを少しずつ復習していきます。
まず極座標の直行座標変換。極座標を使って球の体積を求めてみます。
次の記事で球の体積を求める時に使う微小体積がヤコビアンになることを確認します。
極座標の直行座標変換
2次元のとき、極座標(\(r\),\(\phi\)) を直行座標で表すと、
\begin{eqnarray}
x &=& r cos(\phi) \\
y &=& r sin(\phi)
\end{eqnarray}
3次元のとき、極座標(\(r\),\(\phi_1\),\(\phi_2\))を直行座標で表すと、
\begin{eqnarray}
x &=& r cos(\phi_1) \\
y &=& r sin(\phi_1) cos(\phi_2) \\
z &=& r sin(\phi_1) sin(\phi_2)
\end{eqnarray}
ここまではイメージできるのだけれども、\(N\)に飛ばしたときにどうなるのか。
N次元のとき、極座標(\(r\),\(\phi_1\),\(\phi_2\),\(\cdots\),\(\phi_{N-1}\))を直行座標で表すと
以下のようになるらしい。
\begin{eqnarray}
x_1 &=& r cos(\phi_1) \\
x_2 &=& r sin(\phi_1) cos(\phi_2) \\
x_3 &=& r sin(\phi_1) sin(\phi_2) cos(\phi_3) \\
\vdots \\
x_{N-1} &=& r sin (\phi_1) \cdots sin(\phi_{N-2}) cos(\phi_{N-1}) \\
x_{N} &=& r sin (\phi_1) \cdots sin(\phi_{N-2}) sin(\phi_{N-1})
\end{eqnarray}
この後使わないけれど、逆変換は以下の通りになるらしい。
\begin{eqnarray}
r &=& \sqrt{x_1^2 + \cdots + x_{N-1}^2 + x_N^2} \\
\phi_1 &=& arccos\frac{x_1}{\sqrt{x_1^2 + \cdots + x_{N-1}^2 + x_N^2}} \\
\phi_2 &=& arccos\frac{x_2}{\sqrt{x_2^2 + \cdots + x_{N-1}^2 + x_N^2}} \\
\vdots \\
\phi_{N-2} &=& arccos \frac{x_{N-2}}{\sqrt{x_{N-2}^2 + x_{N-1}^2 + x_N^2}} \\
\phi_{N-1} &=& \begin{cases}
arccos \frac{x_{N-1}}{\sqrt{x_{N-1}^2+X_N^2}} & X_N \ge 0 \\
-arccos \frac{x_{N-1}}{\sqrt{x_{N-1}^2+X_N^2}} & X_N \lt 0
\end{cases}
\end{eqnarray}
3次元極座標系における体積計算の例
極座標(\(r\),\(\phi_1\),\(\phi_2\))において\(r\)を微小量\(\Delta r\)だけ増やす。
\(2\pi r\)は半径を\(r\)とする円の直径だということを考慮すると、
\(\phi_1\)から微小角\(\Delta \phi_1\)増やしたときの\(r \Delta \phi_1\)は円弧の一部。
\(\Delta \phi_1\)を限りなく小さくすると\(r \Delta \phi_1\)は直線と考えられる。
\(2\pi rsin(\phi_1) \)が半径を\(rsin(\phi_1)\)とする円の直径と考えると、
\(\phi_2\)から微小角\(\Delta \phi_2\)増やしたときの\(r sin(\phi_1) \Delta \phi_2\)は円弧の一部。
\(\Delta \phi_2\)を限りなく小さくすると\(r sin(\phi_1) \Delta \phi_2\)は直線と考えられる。
\(\Delta r, \Delta \phi_1, \Delta \phi_2\)が限りなくゼロに近くときに
上記のそれぞれの直線を辺とする直方体ができる。その体積を\(dV\)とすると、
\begin{eqnarray}
dV &=& \Delta r \cdot r \Delta \phi_1 \cdot r sin(\phi_1) \Delta \phi_2 \\
&=& r^2 sin(\phi_1) \Delta r \Delta \phi_1 \Delta \phi_2
\end{eqnarray}
直交座標\(x,y,z\)の位置を\(U(x,y,z)\)とする。
直交座標系における球の体積はざっくり以下で表せる。
\begin{eqnarray}
\int U(x,y,z) dV
\end{eqnarray}
直行座標の極座標変換は前述の通り以下。この座標を\(U(r,\phi_1,\phi_2)\)とする。
\begin{eqnarray}
x &=& r cos(\phi_1) \\
y &=& r sin(\phi_1) cos(\phi_2) \\
z &=& r sin(\phi_1) sin(\phi_2)
\end{eqnarray}
極座標系において以下だから、
\begin{eqnarray}
0 \le r \le 1 \\
0 \le \phi_1 \le \pi\\
0 \le \phi_2 2\pi
\end{eqnarray}
それぞれについて積分すると体積になる。
\begin{eqnarray}
\int_{0}^{2\pi} \Biggl( \int_{0}^{\pi} \Bigl( \int_{0}^{1} U(r,\phi_1,\phi_2)r^2 sin(\phi_1) dr \Bigr) d \phi_1 \Biggr) d\phi_2
\end{eqnarray}
つまり以下。
\begin{eqnarray}
\int U(x,y,z) dV = \int_{0}^{2\pi} \Biggl( \int_{0}^{\pi} \Bigl( \int_{0}^{1} U(r,\phi_1,\phi_2)r^2 sin(\phi_1) dr \Bigr) d \phi_1 \Biggr) d\phi_2
\end{eqnarray}
ここで\( U(r,\phi_1,\phi_2) =1 \)として積分範囲を\(r\)とすると球の体積の公式になる。
\begin{eqnarray}
\int U(x,y,z) dV &=& \int_{0}^{2\pi} \Biggl( \int_{0}^{\pi} \Bigl( \int_{0}^{r} r^2 sin(\phi_1) dr \Bigr) d \phi_1 \Biggr) d\phi_2 \\
&=& \int_{0}^{2\pi} \int_{0}^{\pi} \Bigl( \int_{0}^{r} \frac{sin(\phi_1)}{3} \bigl[ r^3 \bigr]_{0}^{r} \Bigr) d\phi_1 d\phi_2 \\
&=& \int_{0}^{2\pi} \int_{0}^{\pi} \frac{r^3 sin(\phi_1)}{3} d\phi_1 d\phi_2 \\
&=& \int_{0}^{2\pi} -\frac{r^3}{3} \bigl[ cos(\phi_1) \bigr]_{0}^{\pi} d\phi_2 \\
&=& \int_{0}^{2\pi} \frac{2r^3}{3} d\phi_2 \\
&=& \frac{2r^3}{3} \bigl[ \phi_2\bigr]_{0}^{2\pi} \\
&=& \frac{4\pi r^3}{3}
\end{eqnarray}
次回、微小体積とヤコビアンが等しい理由を書いてみます。